「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
2月27日にこんばんわ、なかつです。
非常にお久しぶりです。・・・・・・色々すみません。
今日、Twitterの夜襲クラスタさん数名と、2.26めぐりというか、14話めぐりをしてきました。(乃木神社→国立新美術館別館→中華料理屋さん→上野動物園)
上野動物園、普通に楽しんでしまったw
いやはや、楽しかったです。
で、葛やら葵やらの話をしていて(珍しく市ノ瀬の話はしませんでした笑)、「やっぱり私は夜襲の登場人物たち(特に葵と葛)の生き様が好きだなぁ」と思って、色々湧き上がってきたものをまあ文章にしてみました。
絵が描ければもっとかっこいいことができるのかもしれませんが、私にはこれで精一杯です。
いつもいつも下書きみたいなクオリティで申し訳ないです。
追伸:拍手で誤字指摘をいただきました、「Psycho Psycho Psychology4」を一部修正いたしました。
誤字が多くてすみません。基本的に勢いで書くので、あまり見直ししなかったりなのです・・・・・・orz
ちょっと長くなったので、3つに分けました。
以下、つづきより1をどうぞ。
(! 14話のネタバレというか、14話直後?の葵と葛の話です)
「Just Be Friends 自己満足mix」
1
詳しいことは何も言っていないのに、彼女は「それでいいの」と尋ねてきた。
「いいんだよ。俺が口出しできることじゃないし」
男が去っていった方向にちらと視線を流した後、小野総一郎は手を頭の後ろで組んでそう答えた。
きっちり整えていた髪をあんな風にしてしまって。古風だが覚悟をわかりやすく表す方法としては最高じゃないか。もちろん「伊波葛を名乗っていた男(かれ)」と別れることが、おそらく二度と会えないことが、惜しくないとは言わない。自分はそんなに薄情なつもりはないし、上海で過ごした月日をむざむざ無駄と切り捨てる覚悟もない。できるならば彼のそばにいてやりたかった、気もする。別に大切な人でなくてもいい、日常の些細なことを共有できる間柄として、何かを継続していたかったのかもしれない。
だが、彼が自分に望んでいるのはそんな、女々しく関係を引きずるような、決意を揺らがせるようにすがりつく自我ではないのだ。今まで自分が生きてきたように、今まで自分が接してきたように、自分は自分で他人は他人、個人の意思を尊重しくだらない妄執にとらわれない三好葵だ。実際、自分はそういう性格なのだと思う。自分のやりたいようにやるのが一番だと考えている。
きっと彼は先ほど自分が引き止めないのをわかっていた。
それくらいは、理解されているはずだ。
そう思いたい。
だから、引き止めなかった。
ここで「行かないで」なんて、流行歌みたいな台詞をつぶやいても気持ち悪いだけだ。
嗚呼。
まったく、調子が狂う。
いつもの三好葵はどこにいった。
なあ、小野総一郎君。
自分で自分に問いかける。
隣を歩く静音はずっとしおらしくしている。
「過去とか無意味な自尊心とか、そういうくだらないものに囚われているより、自分で道を切り開くほうがよっぽど気持ちいいもんだよ」
だから彼は彼の道を行き。
小野総一郎は小野総一郎の道を行く。
それでいいじゃないか。
そういう生き方が一番幸せであることができる。
出会いもあれば別れもある。静音とだって、出会いもあれば、別れもあったじゃないか。自分が生きているのは周りにいる全員の顔と名前を覚えられるほど狭い世界ではない。
今頃彼は、どのあたりを走っているのだろうか。この国の、この世界のどのあたりを生きているのだろうか。まだそれほど離れていないはずだけれど、どうして気になって仕方ないのだろう。
「総一郎」
ふと、静音が名前を呼んだ。静音の気配が止まったにも関わらず、彼女の言葉の温かい響きに怖くなって総一郎はそのまま歩き続けた。能力の全てを失ったはずなのに、彼女は驚くべきタイミングのよさで驚くべき女性の勘を発揮する。きっと昔と同じように、肝心なところでかっこいいところを取られてしまうのだろう。だからこそ。
「貴方の好きなところは、自分に正直な、自由なところ」
普段はかっこつけているのに。
総一郎は歩き続けた。きっと彼女はとてもとても優しい微笑を浮かべて、総一郎の背中を見ている。嗚呼、自分は静音の、そこに惚れたのだった。もう一度、はじめからやり直すほどに。
足が重くなる。
徐々に歩みがゆっくりになる。
そして。
止まる。
「ところで貴方は、何故泣いているの?」
本当に。
彼女にだけは、敵わない。
総一郎は、一瞬歯を食いしばって、それから、走り出した。
(2へ続く)
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