夜光に口付け 下のSSの続き。 忍者ブログ
「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
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ちょこちょこ葛たん=自己否定の子を織り込んでいきますよっ・・・と。

葵葛なんだぜ。だぜだぜ。

またオリキャラが出張るなんて、そんなこと! ないんだぜ!

嘘だけど!

このSSも結構書きたいネタだったので、書けてだいぶ満足。
また尻切れトンボだけど、再録のときにどうにかする。そういうパターン多くてすいませんwww最後まで力が持たぬ・・・・・・。
なので、レポート(まさかの金曜日〆切だが、真っ白である)とテストに向けてしばらくSSは自重しようと思います! 週1くらい・・・・・・で、どうか、な・・・・・・。次は庭師パロ書きたい・・・・・・。
・・・・・・近未来パロ・・・・・・皆書いていいっていうから、書いちゃうよ・・・・・・ほんとに・・・・・・私、SF好きだからああいうのすごく、書いてるのは楽しいの・・・・・・。

あと、すごくどうでもいい、前々々回の記事に拍手、ありがとうございましたwwwwぶっちゃけ拍手の数がけっこう多くて噴きましたwwww

よし、よし、三次元に戻るぞ・・・・・・(ぶつぶつ)




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"錯乱" SAKURAN・下


愛の言葉を囁いて。
愛の行為を貫いて。
愛の思考を嘯いて。
中身のない延長戦。
昔、楽しんだ戯言を、飽きもせずに繰り返す。まったく違うお相手に。
微笑。


葵がふと見せる僅かな歪みに胸が痛んだ。だが、何もできなかった。


彼女はいつも露出の多い、派手な服を着ていた。
今日もやはりそうだった。逆に、いつも白い服を着ておとなしく微笑んでいた女性に愛の言葉を囁いたこともあったっけ。嘘だけど、と頭の中でいらぬ否定をする。ドアを開けた彼女は葵の顔を見ると美しい微笑を浮かべ、迎え入れてくれた。
「今日も仕事だったっけ?」
本当はしっかり覚えているのだけど、あえてとぼけたふりをする。
「そうよ? 明日も明後日も仕事。美しい女は忙しいのよ、知ってらして?」
彼女は澄ました顔をし、わざとらしく作った声で言った。ふっと肩をあげてみせ、君が美しいのは知ってるけど、と笑い返してみる。彼女はベッドの端に腰掛けた。そして、妖艶な笑み。その意味をくみとって、葵は彼女に近付くとそっとその肩を押した。押し倒された彼女の髪が、シーツの上にきれいに広がる。指のよく通る、さらりとした髪。彼女はまっすぐ葵を見ていた。一瞬の罪悪感を微笑に変えて、その少し開いた唇に口付けようとする。
彼女はそっと、葵の唇に人差し指を当てた。
「やめたげる」
「え・・・・・・?」
彼女の瞳が、三日月のように細くなる。
「今日は特別。何も言わなくていいわ。何もしなくていいわ」
指を離し、彼女は葵を抱きしめた。ちょうど彼女の口元が左耳のすぐそばにくる形になって、そっと囁いた彼女の声が鼓膜を揺らした。背中に心地いい鳥肌がたつ。
「嘘をつかなくていいのよ。ただで教えてあげるわ」
「・・・・・・」
それは。
「明日はね」
彼女は耳に唇を触れさせ、そっと、一つのビルの名前を教えてくれた。葵は固まったまま、その声を聞いていた。彼女の腕の力がほんの少し強くなる。卵を割らないように気をつける、そんな力の入れ方だった。
「辛いんなら、嘘なんてつかなければいいのに」
嘘なんて。
嘘なんてついていないよ。
その言葉がどうしても、出なかった。
嘘を吐くことができなかった。
ただ、息を吐くしかできなかった。
「ずっと、知っていた?」
愛の言葉の中身を。
「どうかしら」
彼女は答えをはぐらかした。葵は動くことができなかった。この体勢では、彼女の美しい髪が視界にちらつくだけで、彼女の肌が触れた白いシーツが見えるだけで、彼女の表情は見えない。彼女は、どんな顔をしているのだろう。
「でもね、いい、女は嘘をつく生き物だけど、男は嘘をつけない生き物なの。覚えておくといいわ。きっと、いつか役に立つでしょう」
「肝に銘じておくよ」
葵は、今の自分にどんな表情も浮かんでいないことを悟っていた。
「今日は帰るといいわ。このまま、帰って頂戴」
「・・・・・・」
「あら、あたしを一人で眠ることもできない、駄目な女だと思って?」
「・・・・・・いや、そんなことないよ」
彼女は葵を抱き寄せかけ、やめた。葵の体に巻きつけていた腕をぱたんとベッドに落とす。開放された葵はそっと彼女から離れた。彼女は天井を見ていた。
「どうして気付いたのか知りたい」
「女の勘よ」
葵はその後に続くであろうと思っていた彼女の微笑を待っていたが、それはとうとう訪れなかった。彼女は天井を見つめたままだった。しばらく彼女を見つめて、葵はそれじゃあと何事もなかったかのように、いつも彼女の部屋に来た時と同じように、手を振った。彼女の指先が一瞬ぴくりと動いた。だが、それだけだった。
普段なら、それじゃあまた、というところを、あえてそれじゃあだけでとめる。
またはないから。
それじゃあ、さようなら。
葵はドアを閉めた。
かなわない。本当に、かなわない。あんな風に言われてしまったら、すごすご帰るしかないじゃないか。かなわないなぁと歩きながらつぶやき、顔を手で覆う。最後の最後で、どうしても先を越されてしまう。
さようなら。
葵は、彼女に教えられたビルの名前をもう一度頭の中で反芻し、小さくうなずいた。
さようなら。
もう、会わない。今日が最後だった。教えてもらった情報を元に、明日、誰かが革命家を捕らえに行く。彼女がどうなるのかわからない。その思考が始まる前に、今日の夕飯は何だろうと考える。


「ただいま」
帰ると葛がちょうど食事をしているところだった。まだ湯気がほわほわたちのぼる料理に、ごくりとつばを飲み込む。普段より早く帰ってきた葵を見て、葛が咳き込んだ。
「貴様っ・・・・・・! ・・・・・・まさか・・・・・・」
「いーや、大丈夫。情報はちゃんと持ってきましたよ。ちょっとね。早まっただけ」
叱られる前に手を洗い、席に着いた。
葛はそれ以上何も言ってこなかった。まあ、情報があればいいのだ。他に何をしようと基本的に自由なのである。ざらついた心の中を洗い流そうと、葵はどうでもいい言葉を並べた。今日は暑かっただとか、中国の歴史だとか。
「葵」
ふと、葛が口を開いた。チャーハンをほおばったまま、葵は首をかしげて続きを待った。葛は数秒、間を置くと、そっと、その言葉を口にした。
「辛いならやめろ」
今それを言うのは、卑怯だ。
何故。
お前がそれを言うんだ。
「無理はするな」
やめろよ。
そんなこと言うのは。
ただでさえ、うまく笑えなくなっているんだから。
「笑えないときは笑わなくてもいい」
「何だよ、急に」
チャーハンを飲みこんで、葵は笑った。
笑ったつもりだった。
まいったな。
かなわないなぁ、と葵はつぶやいた。
まったく、誰も彼も、かなわない。







おまけ
「なんか、女みたいだな、葛」
「・・・・・・」
「あ、怒った」



/

葵が桜井さんに流した情報で革命家の取引場所に保安的な何かがつっこみ、彼女は死んでしまったという結末は、私としては葵葛で終わらせたかったので、入れませんでした。

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