夜光に口付け ああもうだめだあぁぁぁ 忍者ブログ
「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
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俺得すぎる北神伝綺(画・森美夏)甘粕大尉×夜襲お兄様短文。

が、書きたかったのに!

難しいよ!
お兄様!
なんで他の人、あんなにお兄様書けるんだ! ああそうか私がいけないのだな、私がかけないのだな、お兄様を読みきれてないのだなちくしょぉぉぉ!!!


※ 甘粕を出してはいけないということに気付いてください


甘粕大尉は実在の人物で、満州映画協会を作り、満州国の「夜の帝王」と呼ばれてました。
北神伝綺の甘粕大尉は、メガネにお兄様よりちょっと長めのオールバックでだいぶ胡散臭い感じ(笑)の男です。好きだ! 甘粕大尉とお兄様のニヤニヤしながらお互いドSな何かを書きたかったのに!
ちくしょう! 口止め料が書きたいだけでは足りぬな! うわあああ精進します。
ぐすん・・・・・・。






---

一応書けたものはおいておく。

萌えねぇぇぇぇぇぇ


ランプの灯りがふわりと揺れた。高千穂勲が顔を上げると、いつの間にかドアの前に男が立っていた。蒸し暑くなり始めた時期だというのにコートをきっちり着込んでいる。高千穂は反射的に立ち上がった。厳しい顔で男をにらみつけると、男は目深に被っていた帽子をとった。
「これはこれは甘粕大尉」
緊張は保ったまま、声だけは和らげて彼の名を呼ぶ。
写真でしか見たことがなかったが――その顔は紛れも無く甘粕正彦、その人であった。
関東大震災の際、アナキスト大杉栄らを殺害したと言われている男である。今は満州で情報操作を主に行っているらしい。高千穂は彼の名を、軍で散々聞いていた。満州を裏から動かす実力者。甘粕は肩まで伸びた髪をかきあげると、薄暗い部屋の中で非常に優しく微笑んだ。軍人らしからぬ優雅な顔立ちに似合う微笑である。高千穂は、それが形だけであることを知っている。こちらも形だけの笑みで返した。
「思っていたより随分若い」
甘粕は言った。
「そちらこそ、写真で見るより若い」
実際は、年齢不詳といった感じであるが。年齢だけではない、感情も言動も全く読むことができない。
「さて、突如いなくなった若きエースの顔も拝めたことですし」
甘粕は笑顔を全く動かさぬまま、部屋に置いてあった椅子に腰掛けた。高千穂は座ることができないでいた。この男は軍人である。軍から逃げ出した自分が、この男と対峙しているこの一秒一秒――油断できるわけもない。
「少し、お話しませんか、高千穂勲さん?」
「・・・・・・どうやって、ここに?」
自分たちはできる限り慎重に、秘密裏に動いてきたはずだ。こう易々と見つかるわけがない。
「おや、いきなり質問ですか。そうですね、秘密を暴くのは得意なんですよ。見張りの皆さんは私が用意したおとりの侵入者に今頃てんやわんやしていることでしょう」
高千穂は相手に聞こえぬよう舌打ちした。久世までもが踊らされているというのか、この男に。満州の実力者という噂は嘘でないようだ。自分が圧倒的に不利な状況にいることに、高千穂の苛立ちは募った。何とかしてこの男を殺してやりたい。
「それではこちらからも質問をさせてください。あなたはこんなところで――何をしているのですか?」
「・・・・・・」
「私の優秀な部下たちがあなたについての噂を少ォし入手してきたのですがね。あなたの構想の話とか」
ぴくりと高千穂の顔の筋肉が引きつった。それを面白がるように、甘粕は笑う。
「なかなか――面白いですね、あなたは。非常にあなたに興味が湧きました」
流暢に、何も考えていないように、そして何もかも考えつくしてしまったかのように甘粕は一切詰まることなく言葉をつむぐ。彼は突然立ち上がると、カツカツ靴音を過剰に響かせて、高千穂のいる机まで近付いた。何も対処できぬまま、立ち尽くす。甘粕は静かに机に手をついた。いつの間にか彼の笑顔は、邪悪なそれになっていた。悪魔のような笑顔だ。
「このままあなたをどうにか軍に連れ戻してもいいのですが――どうです、交渉でもしますか?」
高千穂は甘粕のコートの襟を掴むと己の唇を彼の唇に押し付けた。
部屋の中が静まる。
しばらくしてから、高千穂は甘粕を突き飛ばすように手を離した。
「・・・・・・口止め料ですか。なるほど」
甘粕は不敵に笑っている。高千穂は彼に負けぬ邪悪かつ崇高な笑みを浮かべ、彼と対峙した。部屋の空気はとうに凍り付いている。呼吸するのが困難なくらいだ。
彼は笑ったまま、何も言わなかった。黙ると人形のようである。揺らぎが全く感じられない。感情の揺らぎも、体の揺らぎも。
「気に入りました、またお会いできるといいですね」
そう言って彼は、踵を返した。彼がドアを開けて向こうに消える様を、高千穂はじっと見ていた。
「その時は今の続きを期待するとしますか」
ぱたんとドアが閉まる。
彼の規則正しい足音が遠くなるにつれて、高千穂の顔には笑みが浮かんだ。
「面白くなってきた」



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