「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
はじめに謝っておきます! すいませんでした!(ふんぞりかえって)
今日バイト中、ずっとこの話のこと考えてたんで、最後の最後に失敗したんだと思います!(で す よ ね)
これでこそなかつであります!
(※一つ下の文章と読み比べてお楽しみ下さい)
「桜井さん、人の記憶を消す能力ってないんでしょうか・・・・・・」
「ん? どうしたかな?」
(静かに壱師が立ち上がる)
作業用BGM:約束、ヴィーナスとジーザス、タイトルなんて自分で考えなさいな
(途中、後半二曲を熱唱する勲お兄様を想像してしまって、新たな世界の扉を開いてしまいました。)
もし蟻さんを~踏んでしまったらどう落とし前つけてくれるの~♪
\勲お兄様に踏まれます!/
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「あーいい湯だったー」
三好葵はタオルで頭をわしわしと拭きながら上機嫌な声を発した。まだ体はほかほかとしている。桜井機関の人間として上海に来て五日目。同時に伊波葛と写真館を経営し始めて五日目である。同居人の葛は無愛想で、どことなく葵のことを避けているように思えた。あまり物事を深く気にしない性格である葵も、さすがに気まずさを覚える。
「ん?」
その葛の姿が見えない。黙って写真館を空けるような人間ではないのだが。葵が風呂に入る前まではリビングで何か読んでいたはずである。きょろきょろ辺りを見回していると、ふと、耳にぱらぱらとした音が届いたので窓を見ると、窓には水滴がぶつかっては流れを繰り返し、上海の景色をにじませていた。雨かよ、とつぶやき、少しだけ機嫌を下方修正する。
葵はタオルを首にかけると葛の部屋に向かった。リビングにいないなら、部屋であろう。
「葛ー」
葵の呼びかけも虚しく、部屋には誰もいなかった。
「あっれー」
念のため部屋に入り全体を見渡してみるが、やはり葛はいない。当たり前である。一体どこにいったのであろうと首をかしげる。と、首をかしげた拍子に机の近くに何か落ちていることに気付いた。むぅ、とうなって拾い上げる。何か、布らしい。やわらかい手触りがその物体を視覚で認識する前に伝えてくる。
そして葵は固まった。
ああ、これが何か、自分にはわかる。
あれである。あれあれ。えっとなんというか、あれである。ブラジャーである。しかも色は桃色である。さりげなくつぶやいてみたがやはり恥ずかしい。というか何でここにブラジャーなんざ堕ちているのかというか落ちているのか。ブラジャーの本気である。え、よくわからなくなってきた。ここは葛の部屋で、これは葛の部屋に落ちていたのである。
何故ここにブラジャーが落ちていて自分が硬直しているかといえば、これは女性がつける下着であるからだ。
これがここに落ちているということはつまり。
「・・・・・・あいつ、女だったのか?」
いやいやまさか。
でも確かにまあ顔は整っている。いやいや、それだけで女とは言えないだろう。明らかに男性だ。第一、自分とここに一つ屋根の下暮らすのだし――ちょっと待て。だからあんなに無愛想なのか? あれは性格がつんけんなのではなく、見知らぬ男性と同棲するゆえの突き放した態度であったのであろうか。考えてみれば、葵が家事できないと宣言した時にも自ら掃除と洗濯をかってでたし、喋ったと思ったらいちいち言うことが小言くさいし、一昨日出掛け先で一緒にトイレ行こうと言ったらにらまれたし、昨日公衆浴場行ってみようと誘ったら無表情で拒絶の言葉を投げつけられた――が? え、本当にそうなのか。ちょっとそれどうすれば。え、今までものすごく失礼なことをしていたのではなかろうか。それはまずい。欧州留学で日本人の中でも女性の扱いには慣れているという自負がある葵にとって、それは屈辱的なことであった。
おたおたしたまま何かから逃げるように部屋を出ると、ちょうど葛がトイレから出てきたところだった。葵はその姿を見て、あぎゃと奇怪な声をあげ、動きをとめた。その声に葛がこちらを見る。いやちょっと待って、心の準備がまだ何もって何の準備だよいや別に付き合うわけじゃないしと、心の中で言い訳が続く。
まずは普通に話しかけようと決め、一呼吸おいて葛を見ると、彼はどことなく体調が悪そうだった。額に指をそえて、眼を閉じている。
「・・・・・・ん、どうした?」
「いや、何でもない。ただ、少し、貧血が」
言い難そうに葛は首を振り、さっさとリビングの方へ向かってしまった。
葵の口元が引きつる。トイレから出てきて貧血というシュチュエーションで無遠慮な質問をしたところ、婚約者に怒られた、その記憶がよみがえる。それって女性が月に一度くるあれであるのですか。いや違いますよね。違うと信じている。
葵は葛を追いかけた。
「あーえっと、葛! っ、さん!」
突如名前に「さん」を付け出した葵に、葛は当然だが怪訝そうな視線を向けた。女性にいきなり呼び捨てなどというのは、紳士の精神に反するのである。
葛の肩を掴む。葛が嫌悪を表して眉をひそめる。
「すいませんでした。あ、あなた、えーと」
「ただいま帰りました」
「女性だったんですか!!」
「・・・・・・は?」
葛の表情が凍った。
葵が部屋の入り口の方を見ると、桜井機関所属の苑樹雪菜と鍵谷棗が立っていた。二人とも、呆然とした顔で葵の方を見ている。ふえ? と葵も二人を見つめると、腕に何かが絡み付いて、あっという間に体が浮いた。それもまた一瞬、葵は背中に衝撃を受け、痛みに息を詰まらせた。気付くと視界は天井一色である。そこに、葛の顔が異物として映りこむ。彼は葵を見下ろしていた。
「救いようのない馬鹿だな。どうしてそんなことを・・・・・・」
「え、だって、部屋に桃色の・・・・・・」
「きゃっ!」
かわいく反応したのはもちろん葛ではなく、雪菜であった。どうしたと聞く間もなく、雪菜は葛の部屋に駆けていった。顔が真っ赤であるのを、かろうじて確認できた。
つまりそれはそういう――。
「ってええええ何でそれがあんたの部屋にあんだよ葛ぁぁぁぁぁ!!!」
自分の拾ったブラジャーの持ち主を理解した葵は鍛えた動きですばやく立ち上がり、葛の胸倉を掴――もうとしてあっさり葛にいなされた。それを見た棗が淡々と状況を説明する。
「雨に降られたので風蘭の服を借りて葛の部屋で着替えた。風呂には葵が入っていたのでやむなくそうした」
心なしか棗の目が怖い。
「うおおお絶対雪菜に嫌われたぁぁぁぁぁ!!」
「この五日間で気付いたのだが――」
終わったぁぁぁぁと絶叫する葵に、葛は絶対零度の視線を向けた。
「貴様は本当に馬鹿だな」
「あううー」
「ユキナ大丈夫アルヨ! 元気出すヨロシ! 包子食べるとイイネ!」
「でも・・・・・・お嫁にいけなくなりましたお兄様・・・・・・」
「風蘭がヨメにもらってアゲルネ!」
「あれなら・・・・・・Bカップくらい・・・・・・か?」
「何を言っているんだ貴様」
ゴッ
「いった! ちょ、棗なんで林檎投げんだよ!」
※ ブラジャーについての豆知識
ブラジャーが日本で普及したのは1950年ごろから。
理由としては和服が多かったから、など。1900年はじめにはブラジャー自体はあったので、洋装が多くてお金持ちの雪菜なら持ってるかな、という妄想。雪菜たんのブラジャー萌え。
そして欧州留学経験してる葵ならきっとブラジャーの存在を知っていると思った。
葛たんはきっと知らない。
棗は従者だから知ってる。色とか。←
・・・・・・今更ですが本当にすいませんでした。
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