「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
こんばんわ。なかつです。
・bkmが一件増えました!
なかつの心情
あっ、好きサイトさんのbkmが増えてるぞ! 夜襲二次増えろーやっほーい!→飛ぶ→私ブログ消してもいいですか・・・・・・穴があったら入りたい・・・・・・←今ここ!
ディスプレイの向こうで涙目ですよ。ちょっと私に葵は書けないわ、もう。えへへ。だってあの葵、私のもろストライクでしたわ。おほほほほ。
・ということで
葵じゃなくて西尾を書いてみた。
西尾のお葬式でのお話。
あっ、 オリキャラ注意 です。
西尾x葛? 違います。西尾と愛玲? 違います。 西尾と誰か? 正解です! 色々捏造してますが、こういう文章書くのは好き。楽しかった。でも、テンションがずるずる下がってしまって、まいったまいった。
私に画力があれば、絵を描くのになぁ。
西尾関連SSに関しては、つづきからどうぞ。
----
" the umbrella of colors in tears "
その男の葬式は実にひっそりと行われた。
当然であろう、彼はスパイの真似事をしていた。そして、撃たれて殺された。殺されてもしょうがないと思う。それだけのことを彼はしていた。
僕は傘をさしていた。しとしと前日から降り続く雨がやむ気配はなかった。男が殺された時にも降っていた雨は飽きることなく世界を濡らしていた。まるで誰かの涙のようだね、なんてセンチメンタルに浸った台詞を吐くことはない。だが、集まった人々が誰も泣いていないところを見ると、もしかして、この雨は僕たちの涙なんじゃないかと考えてみたくなる。考えるだけなら、いいだろう。
僕はこの死んだ男の知り合いである。もっと可愛く言うなら、腐れ縁。子どもの頃からの遊び友達で、彼が死ぬまで、そう、具体的に言うなら昨日まで、僕の脳内で彼は「友達」の引き出しにしまわれていた。
彼は共産党の人間としてここ、上海に来た。僕はまっとうに、貿易商として上海に来た。偶然、街で出会ったとき、彼は嬉しそうに笑った。実際僕も嬉しかった。彼はここ数年、すっかり消息不明になっていたのである。昔からの彼を知っている僕は、あいつどこかで野垂れ死んだかなと半ば覚悟をしていた。危ない橋を平気で渡る男なのである。そういえば、とても大きく揺れる吊り橋を渡るときも平気な顔をしていた。怖気づいた僕と、あともう一人、同じく腐れ縁の友達は吊り橋の前で彼をひやひやしながら見ていた。僕は怖いからやめようよぉと情けない声をあげ、もう一人は、落ちると危ないから戻って来いと冷静に言った。あの時の彼の得意げな顔。いけない、感傷的になってしまった。一人だけ泣くなんてかっこ悪いじゃないか。雨にはもう少し頑張ってもらいたい。僕の分も、泣け。
ふと、隣にとても美しい女性が立っていることに気付いた。
「あの人の、お友達ですか?」
凛とした声が、僕の鼓膜を揺らす。
「・・・・・・ええ、そうです」
「やっぱり。あなたが一番、悲しそうな顔をしていたから。きっと、彼、友達少なかったでしょうね」
断言された。まあ、多い方では、ないか。知り合いはたくさんいた。人脈はともかく広かった。色々と顔が利いた。しかし友達となると、どうだろう。僕ももう一人も友達は少なかったから、少ないと思う。気性が激しかったからな。僕とま逆で。
だが、美しい女性の心のうちにある彼の印象を寂しい男にするものではない。死んだ友達の名誉のために、僕は首を横に振った。
「そうでもないですよ。日本にはたくさんいます。ただ、上海にいる彼の友達が少ないだけです。こう、いきなり逝かれてしまってはねぇ。僕はたまたま、上海で彼と再会したから、ここにいることができますが・・・・・・本当に、よかったです」
傘にあたる雨音に、僕の言葉は邪魔される。きちんと彼女に届いただろうか。
「少し、あの人の話を聞かせてもらえませんか?」
彼女は言って、僕の目を覗き込んできた。とてもまっすぐで、強い目をした人だった。顔に落ちる疲れた影が痛々しく思えるほど。
そこでようやく僕は、彼女は彼と付き合っていたのだなと悟った。
僕は、先ほど思い出した吊り橋の話をした。
彼女は、らしいですね、と笑った。悲しみに色がため息のように広がる笑い声だった。
彼女も替わりと言わんばかりに、一つの思い出を語った。
僕にはありがた迷惑である。
西尾は、変わった男でした。(僕は頷いた。同意。彼は変わった男だ。目立ちたがりの、道化みたいな男だった。)
私が西尾と出会った頃、私と彼の乗った車が事故に遭ったんです。これが、その時の傷。(と、彼女は白い腕を僕にさらした。)私は助手席、西尾は後ろの席。二人とも、投げ出されました。あまりひどい事故ではなかったのですけど、ここから血がドクドク出て、私はこのまま死んじゃうんじゃないかって怖くなって、ガタガタ震えていました。今思えばおかしな話ですけど。(いいえわかりませんよ、死なんて何のきっかけで訪れるか。西尾は現に、いきなり死んだ。)それでも私は、死んじゃうんじゃないかと妄信して、一人、おびえていました。そうしたら一緒に投げ出された西尾は、出会ってまもないばかりのあの男は、近くに転がっていたガラスの破片を手にして、私の傷と同じところを、ガラスで引き裂いたのでした。
私の恐怖は西尾のその行動で吹っ飛んでしまって、私はともかく呆然として、血が流れる西尾の傷をただ見つめていました。(あの男は、バカだ。僕はそう言ってやりたくなった。)自分の傷を指差して、彼は言いました。
美人だけに傷を作らせるなんて、男の名が廃るね。
ごめんなさい、なんてことを。あなたも死んでしまったら、どうしよう。私は、動転していました。
死ぬわけないじゃないか、これくらいで。俺も生きて、君も生きる。大丈夫だよ、なんのこれしき。
でも、でも。
彼は笑いました。それは、事故現場にそぐわないどこか吹っ切れてしまった明るい笑顔で、私は、腕から血を流しながらにこりとつられて微笑みました。恐怖はどこかへ行ってしまいました。そして私は、彼の優しさに、惚れました。ごめんなさい、なんて、自己満足なお話。ごめんなさい。(彼女は今にも泣き出しそうだった。僕はいいえ、と紳士的に答えた。美人を泣かせては、男の名が廃る。だろう、西尾? おい、聞いているのか。)
世界は不平等だ。だから俺は、その平等をこうやって、自分で直すんだ。俺は、共産党員だよ、と彼は続けて言いました。今言う事なのかしら、と思って、私はまた、笑いました。彼は、私の笑顔を見て、嬉しそうでした。ええ、嬉しそうだと思ったのは、私の勝手な思い込みかもしれません。
そして、助けが来ました。西尾の言う通り、私は生きている。
私はこの腕の傷が、忘れられません。これは、私と西尾だけの思い出です。西尾が、わざわざ私のためにつけてくれた傷。あの人、馬鹿でしょう? 本当に。最後まで、馬鹿でした。こうしてあっけなく死んでしまった。(僕は何も言わなかった。)それにしても、どうして、同じところを傷つけるなんて、変なこと、思いついたのかしら。やっぱりあの人、変な人。(ついさっきまで泣き出しそうだった彼女は、そう言って笑った。僕は何も言わなかった。)
あら。(彼女は振り向いた。どうしました、とここでようやく僕は口を開いた。)誰か、いたような気がして。そういえば私、西尾が死ぬ直前にもう一人、西尾のお知り合いに会ったんです。名前は何だったかしら。ええと。(西尾の知り合いですか? と僕は尋ねる。誰だろう。)そうなんです。きっとあの人も、ここに来ているだろうと思ったのですけど、いらっしゃらない。もしかして、あの人かしら? あの人もここに来ていたらきっと、あなたと同じように悲しい顔をしていたでしょうね。(僕はそんなに、悲しい顔をしていたのだろうか。遺憾だ。あいつなんかに、悲しみを渡してたまるものか。こんな美人の彼女を、作っていたなんて。と、僕は心にもないことを脳で考えた。)
変なお話をしてごめんなさい。ああ、もう行かなくてはね。西尾の骨を、どうにかしなければね。
彼女は颯爽と、僕の前を歩いていった。僕はその場に留まっていたので、二人の間の距離は開くばかりだった。その間には雨が、しとしと。
僕は彼女の話を思い返して、やっぱりあの男は馬鹿なんだなぁ、と思った。
西尾は過去、同じことをしている。昔よく遊んだ三人の中の一人が、割れた竹を踏んで足に怪我をしたのだ。あの時もひどい出血だった。怪我をした奴の顔は珍しく動揺で青ざめていた。そうしたら彼は、何を思ったのか、自分も竹を踏んで同じところに傷を作った。それを見た僕と彼は、びっくりして、慌てた。西尾がいやぁこれ、痛いなぁとヘラヘラ笑う西尾を見て、青ざめていた彼は我に返ったのか、西尾をしかりつけていた。何バカなことをやっているんだと。僕は、あ、戻った、と思った。冷静さを取り戻した彼は、自分と西尾の怪我の処置をした。それから、彼は、ありがとう、と言って遠慮がちに笑った。滅多に笑わない彼の、貴重な笑顔だった。西尾はそれを見て喜んでいた。僕は呆れていた。
多分西尾は、あの時のことを覚えていたんだろう。あの時、怪我をしておびえる人間を、笑わせることができたことを。だから、同じことをした。彼女も、笑わせようと思った。西尾は目立ちたがりで、皆の笑顔を見るのが好きだった。つまり、道化。
彼女と西尾だけの思い出か。
僕は残酷な人間でないから、黙っていたけれど。やっぱりあいつ、馬鹿だ。美人に思わせぶりなことをしやがって。本当は、ただ、笑ってもらいたかっただけのくせに。
彼女の背中は随分遠くに見える。僕はようやく歩き出した。
彼はどうしているんだろう。あの、竹を踏んだ彼は。西尾にありがとうと言った彼は。西尾に少なからず助けられてしまった彼は。
雨が降る中、西尾が死んでからずっと降り続いている雨が降る中、僕は歩く。
一度だけ、立ち止まった。そして、後ろに顔を向ける。
「タクマ、」
この雨には、お前の涙も混じっているか?
----
西尾美化ならまかせてください!(キラキラ)
ってか、西尾の口調とか、性格とか、よくわかってねぇ・・・・・・。半分西尾もオリキャラになってるな・・・・・・。
愛玲、西尾が葛のためにも傷つけたこと、知らないんだろうな。絶対葛の傷作ったほうが早いよね? それをあえて言わなかった葛たんは、愛玲に無意識的な優越感を持ちたかったのかも。恋人に嫉妬ですか?
お粗末さまでした。
PR
コメントを書く