「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
私の過去を焦がすのだ。
9話見てたぎったよ記念、棗x勲おにいたまSS
・・・・・・すいません、x表記は詐欺かもしれません・・・・・・ただ二人がいるだけ・・・・・・そして雪菜は寝てるだけ・・・・・・(雪菜のかわいさは異常。とりあえずおにいさまそこ替われ私の妹だオラァ)
プラトニックな棗x勲にものすごくたぎります。やばい、お兄様かわいい^^^^^^^q^←
家族の前でだけはガチでやさしいお兄様やばい。
両方片思いな棗x勲やばい。
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薄暗かった部屋に背中側から光が差し、吉蔵は静かに振り返った。ドアが僅かに開き、廊下から光が差し込んでいた。その一筋の光の中に、細身の影が映っている。
「雪菜は寝たか」
影から目を上げると、そこには仕えている雪菜の兄、高千穂勲が立っていた。はい、と吉蔵が答えると、勲は音をたてず部屋の中に入ってくると安らかに眠っている雪菜の顔を覗き込んだ。幸せそうな、寝顔であった。最近の彼女はどこか思いつめた表情を見せることが多かったから、こうして幸せそうな顔を見るとそれだけで安心できる。
その思いつめた表情の原因は、おそらくこの人なのだろう。
優しげな笑みを浮かべ、勲は雪菜の寝顔を見ていた。
それは妹を慈しむ兄の顔である。普段は慈悲よりも柔らかな微笑を伴いながら謹厳さをまとっている勲だが、家族の前でだけは、ただ純粋に、優しくあることを吉蔵は知っていた。
「今日ははしゃいでいたからな」
その原因は、彼である。軍に在籍する彼は、滅多にこの家に帰ってこない。久しぶりに休暇がとれたと言って帰ってきた勲を、雪菜は上機嫌で迎えた。彼女はこの優秀な兄を尊敬しているのである。それは、吉蔵も同じことだ。高千穂勲という男は尊敬に充分値する男である。むしろ、まぶしいくらいだ。まっすぐすぎて、見上げることをやめてしまいたくなるくらいだ。
雪菜はただ静かに眠っていた。兄の視線は彼女に固定されたままだ。
まるで目にその姿を焼き付けるように。
嗚呼そうか、彼はまた軍へと行ってしまう。そうすればまた、しばらく帰ってこれないだろう。周りの人間からも優秀だできた人間だと誉めそやされる彼だが、やはり妹との別れは辛いのだ。
「若が、久しぶりに帰られたせいでしょう」
吉蔵がそう言うと、勲はようやく雪菜から視線をはずした。薄暗い部屋の中で、勲の瞳がまっすぐこちらを見つめているのがわかり、吉蔵はゆっくりと微笑んだ。
「そうかな」
「ええ」
勲は僅かに肩をすくめて苦笑した。それから少しして、勲はいつものように優しい微笑を浮かべたまま、切り出した。
「逆はどうなのだろうな」
吉蔵はとっさに言葉の意味がつかめず、眉根を寄せて返答に詰まった。逡巡していると、勲はゆっくり、子どもに言い聞かせるように淡々と、言い換えた。
「高千穂勲が、帰ってこなくなったらという意味だ」
恐ろしい言葉を。
彼は、淡々と、口にした。
「・・・・・・ッ!」
「雪菜は、悲しむだろうか」
「当たり前ですっ・・・・・・!」
声を荒げたい衝動をどうにか抑えながら、吉蔵は思わず彼から顔を逸らした。考えたくもなかった。勲は表情を変えない。それは仮面のようであった。そこでようやく、吉蔵はどことなく勲のまとう雰囲気が変わっていることに気付いた。目の前にいるのは抜け殻であるような。中身はどこかへ置いてきてしまったような。もう、ここにはいないような。
目の前に見えているのに。
おかしな話だ。
この予感は、ただの過剰な妄想に過ぎない。
勲は、そっと雪菜のそばから離れ、ドアのほうへ向かった。まっすぐ伸びた背中が、今は感傷的に映る。ドアに手を添えて、勲は廊下の方に顔を向けたまま、言った。
「雪菜のこと、頼んだ」
その声に、言い知れぬ何かが潜んでいる気がしたのは、果たして。
「若・・・・・・?」
「お前にしか、頼めない」
それは、本来ならば喜ぶべき言葉であった。
だが今の吉蔵には、何ら嬉しくもない、言ってほしくなかった言葉でしかなかった。その言葉で何か終わったような、そんな気さえした。
彼は、廊下に出た。
吉蔵は一歩踏み出しかけ、行ってしまうその手をとろうと思って、いや、それは本当に瞬時の衝動で、結局は眠る雪菜のそばに突っ立ったまま、勲が行ってしまうのを呆然と見送っていた。軽く手を振って、おやすみと吉蔵に告げ、勲の姿は吉蔵の視界からいなくなった。
仕えている人間の腕を掴むなんて失礼なこと、できるわけがないから。
だから、何もしなかったのだ、というのはあまりに言い訳じみているだろうか?
雪菜は眠っている。
彼も、眠るのだろう。
ただその心中は、雪菜のような安らかな眠りとはかけ離れたものであるかもしれない。
怖かった。
彼が、何を考えているのか。
わかっていた。
あの手をとることができなかったのは、怖かったからだ。
そうして彼を側に引き寄せて、その時に見えるものが何であるか、考えたくもなかったから、怖かったから、何もできなかった、いや、しなかったのだ。
全て、気のせいだ。きっと、彼は軍に長くいすぎたせいで、家族との再会に感傷的な態度を抑えられなかっただけだ。きっと、そうだ。彼は、彼の家はここである。
そうだ。
彼がいなくなるなんてそんなこと。
あるはずがないのだ。
(これだけよく視える目を持っていても 彼の心と未来は見えない)
9話ネタバレですが、
「もし日本がもっと強く大きくなればそういうことがなくなるのなら、俺は喜んで銃をとります」っていう9話の台詞。
直前の棗の一人称が「私」なのに、ここだけ「俺」。しかも感情的っぽい。
普通に考えれば、過去の何か、かんばつがどうたら的な話で感情的になったんだろうけど、「日本がもっと強く大きくなれば」って、お兄様の思想ではないのかしら。お兄様のためなら喜んで銃をとるっていう脳内変換が起こったんだけど。
ああ、うまくいえない。
なんか、この台詞、棗x勲だと思ったんだ。
ニャー
そろそろ庭師パロを続きあげたい! アニメが終わっちまう・・・・・・><
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