「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
最後、4話目。
SSというか、SSSというか。
10話のラストのあのシーンでの二人。
触れない愛を示した彼と、触れない愛に接した彼の、ほんの少しの独白。
Please, touch me now.
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"望む事のない感触を包む"
あの時、触れない優しさを、慈しみを知ったはずなのに。
あの距離が、二人をつないでいたはずなのに。
その距離を忘れて、触れて欲しいと想う自分は、なんて我が儘なのだろう。
一歩も動けずにいる自分の手を、どうか触れて握って引き寄せてと。
そう願ってしまった。
彼の叫びは届かない。
ただ彼の感触を、願う。
今こそ触れなければいけないと、わかっているのに。
なのに、踏み出すことすらできないなんて、どうして。
触れるのが怖いなんて、どうして。
彼が触れて欲しいというのは、痛いほどわかっているのに。
どんなに叫ぶよりも、彼に触れる、それだけで全ては終わるはずなのに。
後悔するに違いないのに。
ただ現実の感触を、この胸に抱いて。
"触れた指の先にある熱は 大事な何かを掴もうとして 空気を撫でたその視線の 望む事のない感触を包む"
END
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