「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
こんにちは、なかつです。
自己満足☆近未来パロのお時間です。
(Voice:小野Dでお楽しみください)
(何で)(少しでも萌えていただこうかと・・・・・・萌え成分が少ないので・・・・・・)
午後ずっとこれ書いてました。楽しかったです。 私 は !
私 は !
(大事なことなので二回言いました)
明日までの課題やってないよ! 今日やりたかったこといくつか残ってるよ!
ごほん。
時間軸的には、二人が西尾のあれで出会って、ちょっと経った頃。
最初にあげた近未来パロより前かな。まだ葵もそこまで葛たん信用してない感じで。
とりあえず最初にドッキリをしかけてみましたw
「何故こいつがここに・・・・・・!」と呆れるお嬢様方の顔が目に浮かびますが、そこは自己満足、おいておきましょう。
何で今回、こんなに自己満足自己満足うるさいかって(本当にうざいよね)、私が、他の人もまあちょっとは楽しんでいただけるか、非常に不安だからです。
楽しめなかったら本当にごめんなさい。
パロというより、むしろもう創作の範疇です。
あと、時間がなくて、書き上げてしまうつもりが、3分の1くらい残してしまいました。
頑張って明日書こう・・・・・・かな。
午後時間あるから、どうにか・・・・・・。
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" Psycho Psycho Psychology " Emotion1
己の感情は己の感情である。己の思想も己の思想である。
天下に一人もそれを理解してくれる人がなくたって、
己はそれに安んじなければならない。
それに安んじて恬然としていなくてはならない。 -森鴎外
「『感情』なんてものは、本当にあるんだろうか」
「何を急に」
葵はZippoのライターのふたをカチンカチンと開け閉めしながら、そう答えた。背中を預けている柱のちょうど向こう側にいる男に対して、だ。
綺麗に整備された公園の休憩所、柱を挟んだ二つのベンチにそれぞれ、三好葵と依頼仲介人は座っていた。こちらから彼の顔は見えないし、あちらから葵の顔も見えない。
「例えば君が冗談を言う。私は笑う。それを見て君は、私の心に『楽』という感情を見つけることだろう。しかし、それは作り笑いで、私は『こいつつまらねぇな本当にいい加減にしろ』と『怒』という感情を抱いていたとしたら? 所詮、他人の心を正確に測り知ることはできない」
男の声は平坦だ。葵はそこに何の感情も見出すことができなかった。
「そんなの、当たり前だろ?」
葵はふと、最近相棒になったばかりのある男のことを思い出していた。あの男も感情がわかりにくいのである。基本的に無表情で、硬質な声を発する。喜んだり泣いたりするところを見たことがない。そうだな、出会った時が一番感情的だったな。あの時彼は突然のことに動揺していた。いきなり葵と組むことになったのだ。表情は見ていないが、声だけで動揺が伝わってきた。あれからしばらく経つが――。
「つまり、こちらがそうであると思い込んでいるだけだ。・・・・・・もし、私たちが感情があると思い込んでいるだけなのだとしたら? 感情なんてものは人間に存在せず、全ての心の動きは単純にプログラムされた、システムでしかないとすれば?」
論理が飛躍したぞ、と葵は思わず振り返り、柱から顔を出して男の姿を確認しようとした。男の表情を目視するより先に、葵の鼻先に書類が押し付けられた。
「っわ!」
「今回の仕事だ」
書類を受け取り、葵は顔を引っ込めた。ぺらぺらと数枚めくり、軽く情報に目を通す。その情報を統合し、葵はなんとなく男の言わんとすることを理解した。依頼を受け取ったなら長居は無用、葵は立ち上がり軽くのびをした。そろそろ蝉が鳴きだす季節だ。袖をまくっているとはいえ、長袖のジャケットを着るのは辛くなってきた。
受け取ったばかりの書類でばさばさ扇いでいると、柱の向こうから声がかけられた。
「それはそうと、君はタバコを吸ったかな?」
「いや? もらったんだよ。久世、いる?」
男は何も言わなかった。
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表札下の画面に右手のひらを押し付け、毛細血管パターンを照合させてドアを開けると、食欲を刺激する匂いが鼻に届いた。この匂いはハヤシライスだと判断し、葵はリビングに向かった。書類はソファーに投げ捨て、キッチンにいた相棒へ声をかける。
「ただいまー」
律儀にネクタイをつけたままの相棒、伊波葛は、ちらりと葵を一瞥しただけですぐ鍋に視線を戻した。三角コーナーからたまねぎとにんじんの皮がのぞいているのを見るにおいて、やはりハヤシライスで正解のようである。葛はその容姿に反して、料理がうまかった。葛と暮らすようになってからというもの、葵の食生活は激変した。冷凍食品や外食で済ませていた食事に手作りという項目が加わったのである。時間があれば葛は二人分の食事を作ってくれる。ありがとう、と素直に礼を述べているのだが、葛はその無表情を崩さずにたいしたことはないと言うだけなのであった。
しばらくすると、テレビを見ていた葵を葛が呼びにきた。食事ができたのだろう。テレビを消し、ソファーに置きっぱなしだった書類の存在を思い出す。それを持って葵はテーブルについた。目の前にはハヤシライスである。
「そう、それで新しい仕事なんだけどさ」
ハヤシライスの味に笑顔を浮かべた後で葵は切り出した。おいしいも何も言わず、ただハヤシライスを口に運ぶだけの葛が、僅かに反応する。
「仕事の内容としては、とあるプログラムの入手」
「プログラム?」
「そう」
テーブルの上に、書類を置く。
「心理解析システム、<悟り>」
「・・・・・・」
葛は書類に視線を向けたまま、それを手に取らなかった。
「どうした?」
「食べる時は食べろ。行儀が悪い。これを読むのは食事後だ」
そう言って葛は、再びハヤシライスを口に運んだ。堅物だな、と葵は肩をすくめた。
心理解析システム、<悟り>。
開発責任者は心理学者、波圭一(なみ けいいち)。
<悟り>は、人の感情を解析する。どういった形式をとるのかわからないが、ともかくこのプログラムは他人が何を考えているのか、何を思っているのかを解析できるらしい。機械で行うサイコメトリング、といったところだろうか。
「この開発責任者である波圭一って奴が、相当にすごかったみたいだけど」
葛は書類を読んでいる最中だ。何も言わず、眉一つ動かさず、手と眼球だけ動かして読み進める様は人間というよりロボットのようだった。
「そのようだな」
書類の最後までたどり着いた葛は、少し長めの瞬きを繰り返した。
「彼の論文は高く評価されているようだ。ネット上でもかなりの件数が検索にひっかかる」
どうやら彼は今の数秒間、ネットで波圭一の検索をしていたらしい。葵は電子頭脳化していないので、葛が何をどうしたのか共有することができない。いや、角膜接型視覚拡張装置(コンタクト)をつけ、外部情報取込装置を首にかけ、葛の情報をもらえばいいのだが、そこまでするのは面倒だった。葛の目には今、この現実と共に大量の情報が映っているのかもしれない。葵には実感がわかなかった。葛はコンタクトをしなくとも、脳の視神経に直接電気信号を与えて、現実の他に情報を見ている。それは、「現実」と言えるのではないだろうか。つまり葵のいる「現実」と葛のいる「現実」は違うのではないのか。くだらない思考を飛ばすため、葵はふるふると首を振った。
葛が焦点がこちらの現実に定まりきらぬ目でつぶやいた。
「心理学の天才か・・・・・・」
波圭一は天才と呼ばれていた。葵は、葛が読み終わった書類を手元に引き寄せ、ページをめくった。波圭一の経歴が書かれている。右上に載っている写真の中の彼は、優しく微笑していた。
彼は、相手の容姿、行動、経歴などを統合して、他人の考えていることをかなり正確に『悟る』ことができたらしい。それでつけられた彼のあだ名が、<悟り>なのである。又、人間以外の動物の心理にも長けていたとある。そんな、超能力者みたいな人間が本当にいたのだろうか。
「でも、日本の心理学は遅れてるって聞いたことあるけどな」
日本の心理学は文学部に所属する、文系の学問だが、欧米の心理学は数学や化学と同じ、理系に属するのだそうだ。日本の心理学は、十年なんてものではない、もっともっと遅れているのだと大学の授業で聞いた。
「彼の心理学には、『感情』すらも含まれている」
葛の焦点が葵に定まった。少し、どきりとする。
「いや、だって心理学だし」
「日本で心理学と聞くと、感情を中心に『心(heart)』をイメージするが、欧米のそれはどちらかといえば『脳(brain)』を研究している学問だ。感情ではなく、思考スタイル、つまり『理性』を研究する。だから、波圭一の心理学は日本的、日本だからこそできた、と言っていいかもしれない。どちらにしても、思考スタイルならばともかく、他人の『感情』まで悟ってしまう人間など異端でしかないだろうが」
「・・・・・・へえ」
詳しいんだな、と素直に感心すると、葛は貴様も電子頭脳化すればいいと斜め方向から返答した。
「で、この<悟り>だけど」
「どこにあるかわからない、か・・・・・・」
<悟り>の存在自体、はっきりあると断言できないらしい。波圭一は心理学者であると同時に、優秀なカウンセラーだった。そりゃ、人の考えていることが丸わかりなのだったら、カウンセリングも楽だろう。今回、昔波からカウンセリングを受けていた人の日記が発見され、その中の記述に<悟り>プログラムの存在を匂わせるものがあったらしい。
「っていうか本当にあるのかよぉ」
波圭一は30年以上前に死んだ人物だ。今更、そんなとてつもない遺品が見つかるものだろうか。都市伝説の一種ではないのか。葵は波圭一に関する記述の最後数行を読み直した。
彼はいくつかの論文を発表すると突如、その名声はまったく色あせていないというのに学問の世界から姿を消した。その後、死ぬ2年前になって再び世界に姿を現すまで、どこで何をしていたのか、全くわからないらしい。
「問題は、姿を消していた間、どこにいたかってことか・・・・・・」
「ガセということはないだろうな?」
テーブルに突っ伏し、はああと大きくため息をついた葵の頭に、葛の声が降る。葵はしばらく唸りながら考え、顔をあげて葛を見た。
「ないと思うけど・・・・・・一応、信頼できる仲介人だし・・・・・・」
わかった俺はネットで情報を収集する、お前は好きにしろ、と葛は立ち上がり、自室へ戻った。ネットは情報の大海だ。葵はさほどネットに詳しくないし、頻繁にアクセスできるわけでないから情報収集においては葛が圧倒的に有利なのである。だが電子頭脳化をしていないとはいえ、ある程度のデバイスを使えば人並み以上の情報収集はできるくらいには、葵も技術を持っていた。裏の世界でこういった仕事をしているのだから、当たり前といえば当たり前である。
葛の部屋のドアが閉まったのを見て、葵はテーブルに突っ伏していた体をぐいとあげた。
もし他人の感情までも覗くことできる<悟り>システムが存在したとして――その時は、葛の感情を窺ってみたいものだ。と、葵はひっそり考えた。
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