夜光に口付け Psycho Psycho Psychology 3 @近未来パロ 忍者ブログ
「植木に口付け」・夜襲期間限定ブログ
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私は天才が、大好きです!

例:ピ.カソ様

この辺から眠さのピークなので、一つ一つの文章が短いです。
それにしてもひどい文章だな、と思ったけれど、書きたいことは書けたから、いいかねぇ。むふーん。
なんか、自分に酔っている気がする。
嫌だわ。
いいなぁ、他人の感情が悟れればいいのに。一瞬だけ。
私の文章読んでるとき、どう思ってるか知りたいな、なんて。
眠い。
ぐぐぐ。
きゅうり!(くわっ)(どうしたの)

悟り悟られ儚き人生。


それと、いつも拍手ありがとうございます!
すごくうれしいメッセージがあって、軽く泣きました!
自分的に思い入れのある作品を読んでくれるって、すごくうれしい。



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"Psycho Psycho Psychology" Emotion3

「アナログなデータも馬鹿にできないだろ?」
「・・・・・・ああ」
「ネット上の情報は混沌としている。情報の無法地帯だ。だからこそ、情報は取捨選択される。いらない情報はすぐ底に沈み、腐敗し、分解され、消える」
「・・・・・・今日はよく喋るな」
「・・・・・・拗ねんなよ葛」
「拗ねてなどいない」
葛と葵は真夏日を記録する気温の中、某県の国道を車で走っていた。自分たちの乗る車以外に通るものはない。随分田舎に来たものだ、と葛は田畑が9割を占める景色を見て思った。
葵が見つけた魚の記述が果たして波の行方と関係しているのか、確証はなかった。だが、葛が調べて何もなかった以上、頼るものはその情報だけなのだった。得意げな葵の表情に口元がひきつったが、仕方あるまい。
しばらく車を走らせると、葵は民家がちらほらと見えてきたあたりで車を止めた。村か。のんびりした空気が流れている。その中でスーツを着た自分と、Tシャツにジーパンという服装の葵は確実に浮くだろう。葵はためらうことなく車のドアを開け、外に出た。むっと襲い掛かる熱気に立ちくらみがする。
「このあたりに空き家か、もしくは波圭一が失踪していた時代に住む者がはっきりしなかった建物を探そう」
葛の提案に、葵が同意する。
「そうだな。でも、ちょっと範囲広いんじゃないか?」
きょろきょろと周囲を見渡す葵につられて視線を動かす。田畑、ぽつりぽつりと建つ民家、山。山まで含めれば、広いことは広い。
「わかった。GPSの映像を使って――」
葛がそう言いながら葵に視線を戻すと、葵は既にそこにいなかった。慌てて探すと、近くにいた村の住人に話しかけにいったようだった。まったく、勝手な男である。葛は車に手を置くと意識を軽く集中させ、GPSのシステムへアクセスした。脳内にネットの世界が構築される。視界がGPSの映像にすり替わる。目を閉じる。このあたりの映像を呼び出し、建物全てをマーキングする。葵の言うとおり、そこそこの数があった。山の中にも見えにくいがいくつか建物があるようだ。次に村の住記ネットワークへハッキングをかける。田舎だからか、セキュリティレベルはかなり低く、苦労せず入り込むことができた。現れるウィンドウを一瞬で選別し、いらないものは捨てていく。首に汗が流れた。その中で住民の住所を呼び出し、右下に待機させていたGPSの映像とリンクさせる。一度休憩。息をつく。目を開ける。住所、GPSの映像の透明度をあげ、現実世界に重ねる。相変わらず、人気のない一本道だった。リンクが終了したので再び目を閉じる。住記ネットワークに合致した建物を赤い丸で囲む。
一つだけ――丸が現れない建物があった。
あれか。
目を開ける。ネット通信を一度遮断し、現実世界の正しい視界を取り戻す。その建物があるべき方向に目をやると、葵が帰ってきた。
「いやーおばちゃんと話し込んじゃったよ」
「葵」
「「あそこだ」」
葛が指差したのと同じ方向を、葵も指差していた。山の中、ここからは見えない中腹あたり。
「ん? 葛もそこ? おばちゃんが教えてくれたよ。そこに有名な学者さんが住んでたんだって」
屈託のない笑顔で首をかしげる葵に、葛は思わずため息をついた。この男のやり方はよくわからない。ふうと今日何度目かのため息をつくと、ずい、と緑の物体を葵に押し付けられた。
「・・・・・・きゅうり?」
「おばちゃんにもらった。食えって」
ありがたく、受け取っておくことにする。

エッセイに出てきた魚が住む川の上流付近、山の奥深くにその日本家屋はあった。しっかりしたつくりだが、今誰も管理していないせいだろう、廃屋という雰囲気がそこかしこから滲んでいた。
ここに波圭一が住んでいた、のだろうか。
何を考えてここを選んだのだろう。
ぼんやりと青い空をバックに日本家屋を見上げる葵に対して、葛はずかずかと靴のまま日本家屋にあがりこんでいた。慌てて後に続く。
「・・・・・・何もないな」
もちろん、冷房なんてない。葵はパタパタと手で申し訳程度に自分の顔を扇いだ。慰めにもならなかった。時たま吹く風が心地よいものの、蒸した高温の空気で満ちたこの空間、暑くないわけがなかった。葛は暑くないのだろうか。黒いスーツだ。いや、暑くないのだろう。そういう感覚は、彼には――。
「はずれか?」
葛が緊張を有した声を発する。葵は襖を開け、障子を開け、奥へ奥へと進んだ。ここが駄目なら、完全に「詰み」だ。この依頼は失敗に終わる。あそこまで葛を疲労させておいて、それはないだろう。
と、足に何か当たって葵は視線を下に向けた。ほこりにまみれたそれを拾い上げ、書かれた文字を見た瞬間、葵の口元に笑みが浮かんだ。
「葛、やっぱり大正解だよ」
「どうした」
少し遅れてやってきた葛が、葵の手元に気付く。
それは本だった。
タイトルは、「心理学総論」。
見ればその部屋は、書斎のようだった。壁にいくつもの本棚が並び、びっしり本が詰まっている。洋書と和書が半々の割合だ。もうだいぶ年月が経ってしまっている為に背は焼け、劣化がひどかったが、ほとんどが心理学関係の本だった。
「・・・・・・置いていったのか。何故だ」
「きっと、全部覚えてしまっていたんだろうな。天才だから」
表紙をめくったところにあったのは、「済」という赤字だった。
「用済みだったんだ」
本を落とす。ばさりと本は床に落ちた。
「葵」
葛が葵を呼ぶ。振り向くと、葛が書斎から隣の部屋へ続くドアを開けていた。葛の視線はドアの向こう、隣の部屋へ向いている。葵はつかつかと葛に近付き、その肩越しに部屋の中を覗き込んだ。そして、静かに息を飲んだ。
そこにはこの日本家屋に不釣合いな、光景があった。
窓もなく薄暗い部屋の中に。
壁一面の、機械。
おそらくコンピュータであろう。
そして目の前のテーブルの上にはディスプレイ。スピーカー。そして卓上型マイク。
明らかに常軌から、はずれていた。
「葵」
再び葛が葵を呼んだ。その声にはっと我に返り、なんだ、と曖昧な笑みを浮かべる。
葛が指差したのは、ドアだった。書斎からは見えない側に、プレートが埋め込まれていた。白いプレートにマジックか何かで走り書きされたその文字を読み、葵は曖昧な笑みを、確信的な、しっかりしたものに変えた。
年月のために一部かすれていたものの、読めないことはなかった。

"<Satori> Nami Keiichi"

蝉の声が聞こえた。








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どうでもいいですが、生きている波圭一はここにいたり。
http://homepage3.nifty.com/ueki-ripslyme/orz/all.html


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